2009年7月1日号
日薬が社会保障費削減や調剤報酬引き上げを要望
日薬「2009年6月 要望書」
こころの健康状態に問題のある生徒がいる公立中が98.7%
日本イーライリリー「こころの病気を学ぶ授業プログラムの開発に関する調査研究」
記載ルールの統一化巡り、1日量記載と1回量記載で議論
厚労省「第2回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」
日薬は、社会保障費2200億円縮減の撤回など2点を盛り込んだ要望書を作成したことを、6月11日の定例記者会見で明らかにした。
要望書は、①社会保障費の伸びを毎年2200億円縮減するという方針を撤回し、国民が安心して医療を受けられる環境を整備すること、②薬局が医療提供施設として十分に機能を発揮できるよう、調剤報酬の実質的引き上げ改定を実施すること。あわせて、医療安全の確保という観点から、診療報酬の引き上げ改定を実施すること――を求め、10日から与党等に対し要望活動を開始している。
こころの健康状態に何らかの問題がある生徒がいる中学校が98.7%に上ることが、東京学芸大学と日本イーライリリーが共同で実施した「こころの病気を学ぶ授業プログラムの開発に関する調査研究」(首都圏の公立中学校全507校を対象に実施、有効回答163 校)でわかった。同社が6月12日に発表した。それによると、実際に精神医療の専門機関にかかっている生徒がいる中学校は83.9%、過去3年間に「うつ病」と診断された生徒がいる中学校は37.3%だった。
こころの病気を学ぶ授業を「現在、実施している」中学校は30.4%で、実施している心の病気の授業内容の多くは「薬物依存症(覚せい剤等の乱用)」(81.8%)や「アルコール依存症」(68.2%)だった。
6月22日に開催された厚労省の「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」(座長=楠岡英雄・国立病院機構大阪医療センター院長)で、患者や薬剤師などの立場で委員が意見を述べた。
患者の立場の委員は、事故を減らすためには「失敗しようとしてもできないくらいの抜本的・システム的な対応が必要」とし、処方せんの記載方法を1回服用量、総量表記に統一し、それ以外の記載をしにくい書式に改訂するよう提言した。
薬剤師の立場から意見を述べた委員は、「健保法では院外処方せんには1日分量を記載することがルールだが、ルール通りに記載されない場合がある」と指摘。①現行の[1日量記載]をベースとして統一化、②移行期間を設けず、ある時期を境に[1回量記載]へ一斉切り替え、③1日量記載/1回量記載を明確に区別できる処方せん様式の導入――を提案した。